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大学野球選手の上腕動脈における機能的な適応を解明

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(Image by Yoshitaka Okino/Shutterstock)
 大学野球選手を対象に、競技特性に伴う動脈の構造や機能の変化について、血管内皮細胞が血管の健康維持のために行うさまざまな機能に着目し、投手と野手に分けて詳細な調査を実施しました。その結果、特に、大学野球投手の利き腕の上腕動脈では、血管内皮機能が低い傾向が明らかになりました。

 アスリートの動脈では、競技の特性に伴ってその構造や機能に合目的な適応が引き起こされます。例えば、野球選手の場合、日々の練習や試合において強度の高い投球動作を繰り返し行っているため、特に、利き腕の上腕動脈において、何らかの運動誘発性の適応が生じていると考えられます。しかし、このような適応は、これまであまり詳しく調べられていませんでした。そこで本研究では、大学野球選手を対象に、運動誘発性の動脈適応について、上腕動脈の血管内皮機能(血管内皮細胞が血管の健康維持のために行うさまざまな機能)に着目し、詳細な調査を行いました。

 大学硬式野球部に所属する投手23人および野手67人を対象に、利き腕における上腕動脈の血管内皮機能、肩関節の可動域、筋力などを測定しました。その結果、野手と比較し、投手の利き腕における上腕動脈の血管内皮機能は、統計学的に有意に低値を示しました。加えて、肩関節の外旋可動域および肩関節の内旋筋力と血管内皮機能との間には有意な負の相関関係が認められました。

 これらの結果は、大学野球選手の上腕動脈において、投手と野手とでは異なる運動誘発性の機能的な動脈適応が生じている可能性を示しています。こうしたアスリート特有の機能的な動脈適応の特徴を理解することは、効果的なトレーニング戦略の立案や内科的なスポーツ障害の予防策の確立に大きく貢献すると期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

365体育投注体育系
小﨑 恵生 助教

掲載論文

【題名】
Comparison of brachial artery endothelial function in the dominant arm between male college baseball pitchers and fielders
(大学野球選手の上腕動脈における機能的適応を解明)
【掲載誌】
Journal of Strength and Conditioning Research
【DOI】
10.1519/JSC.0000000000005267

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