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ラグビーにおける膝関節外傷の重症度に影響する受傷メカニズムを解明

研究イメージ画像
(Image by Jacob Lund/Shutterstock)
 男子大学ラグビー選手を対象とした縦断的な外傷調査とビデオ分析を通じて、膝関節外傷の発生傾向と受傷メカニズムを検討しました。その結果、膝以外への外力による間接接触が外傷の発生率に関連し、タックル時の動作方向が重症度に影響を与える可能性が明らかになりました。

 ラグビーにおける膝関節外傷は発生率や重症度が高く、アスリートへの負担が大きい外傷の一つです。これまでラグビーにおける外傷調査は多く発表されていますが、受傷時の映像を用いたビデオ分析を組み合わせることで、より詳細なメカニズムを明らかにできる可能性があります。

 本研究では、2017年から2022年の6シーズンにわたり、男子大学ラグビー選手198人を対象とし、外傷データおよび試合時の映像を用いて、外傷の発生率、重症度、外傷による負担、膝関節外傷の受傷メカニズムを評価しました。調査期間中に生じた81件の膝関節外傷のうち、試合中に生じた分析可能な29件について映像分析を実施した結果、受傷メカニズムでは、膝以外への外力による間接接触がもたらす受傷が、高い発生率および外傷による負担が認められ、さらにタックル時の動作方向が重症度と関連していることが明らかとなりました。以上の知見から、タックルなどの身体接触に起因する外傷は競技からの長期離脱の要因となり、特定の受傷メカニズムが重症度に影響を与える可能性が示唆されました。本研究の成果は、膝関節外傷の予防プログラム開発に資すると期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

365体育投注 体育系
中田 由夫 教授
小倉 彩音 スポーツ医学学位プログラム(博士課程)3年次

掲載論文

【題名】
Mechanisms of Knee Injuries in Male University Rugby Union Players: A Systematic: Video Analysis and Injury Surveillance Study
(男子大学ラグビー選手における膝関節外傷のメカニズム:システマティックビデオ分析と外傷調査)
【掲載誌】
The Journal of Physical Fitness and Sports Medicine

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